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蔵王・井戸沢・熊野岳(6月〜7月)
アオノツガザクラ
(青の栂桜)
(ツツジ科ツガザクラ属)

 刈田岳山頂より東南に少しくだった井戸沢の源頭には雪が多く、 5月半ばまでスキーヤーの姿を見かけたが、 雪田跡にはアオノツガザクラやチングルマが遅い春を待ちわびて咲き始める。 高山の湿り気のある岩場や、 斜面に群生する小低木。 高さ 10〜30cm、 茎は地上をはい、 葉は線形で裏面の脈に白毛のすじがある。 花は枝先に4〜10個下向きにつく。 アオノツガザクラは本州の中部以北・北海道、樺太・アラスカ等に分布する。  画像を眺めていると、 つぼみの段階から雌しべの柱頭が突出していることに気づいた。  受精できるチャンスをできるだけ長く設定したいのであろうか、 雌性先熟のようである。  花が開くと壺型の花の中に雌しべは隠れてしまうが、 出入り口の場所に柱頭がある。  内部には10本の雄しべがあり、 蜜も用意されているのであろう。  蜜をいただくためには狭い壺の口を通らなければならないわけであるが、 花弁に穴をあけてちゃっかりとちょうだいしてしまう虫もいるようである。 蔵王では刈田岳井戸沢の源頭と熊野岳の周囲に群生。

写真は、まる姉さんより借用
南蔵王・不忘山(6月〜7月)
ユキワリコザクラ(雪割小桜)
(サクラソウ科サクラソウ属)

 朝起きたら快晴ではないか、 すぐ車を走らせ刈田峠登山口へ向かう。 南屏風岳から降りて不忘山へ登りかえす稜線はやせ尾根で、 足元に気をとられながら歩いていると、 小さな花が目に飛び込んできた。 それもほんの数株のユキワリコザクラだ、 登山道の真ん中に咲いているのもあり、 登山者が踏まないよう歩いてくれているのがわかりすぎるほどだ。 ユキワリソウの変種と言うことだが、 細い花茎の先につつましく咲く花は、 小さいながら気品があって美しい。 「ユキワリ」とは雪解けとともに花を咲かせはじめるというニュアンスが込められた枕詞のようなもの。 実際、サクラソウ科のユキワリソウも、 同じくユキワリソウの通称で広く知られるキンポウゲ科のミスミソウも、 花期がかなり早い植物である、 また、 キシメジ科のキノコにもユキワリという種類があるがやはり春先に発生する。  蔵王では不忘山の北斜面に生育。

不忘山北斜面で撮影、(2020/6/7) 

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