蔵王全山(6月〜7月) イワカガミ(岩鏡) (イワウメ科イワカガミ属) 山頂近くで見かけるイワカガミの花は色が淡く、 山腹に咲く花は色が濃いように思える。 イワカガミには、 コイワカガミとオオイワカガミとイワカガミの 3種があるということだが、 区別はなかなかわかりにくい、 いずれもつやつやと光沢のある常緑の葉をもち、 それを岩場の鏡に見立ててこの名がついた。 この鏡とは手鏡だという説もあり、 フィールドで見た感じはまさに小さな手鏡だ。 花冠は 5裂し、更に先端が細かく裂け、 山の妖精の破れ帽子のようななんとも可憐な姿である。 急登の尾根や針葉樹林の縁などでピンクのこの花に出会うと、 ほっとして足を止め、つい見入ってしまう。 蔵王では全山中腹より山頂まで生育。 前山付近で撮影、(2004/6/19) | |
南蔵王・南屏風岳〜不忘山(6月〜7月) ミヤマキンバイ(深山金梅) (バラ科キジムシロ属) 屏風岳山頂で見た花は黄味が強く、 葉も強壮な感じだったが、 不忘山北斜面に群生するミヤマキンバイは、 はなやかで、 落ち着いた雰囲気を持つ。 ハクサンイチゲの白花の波の所々に、 黄花の島を浮かばせている風景は蔵王の中でも最も美しい自然の贈り物だ。 高山に咲くバラ科のキジムシロ系の花では、 最も普通に見かける種ではないだろうか。 群生しているのを目にする機会も多い。 葉に光沢があって3小葉に分かれていることがこの花の特徴で、 花弁の先が凹んでいることや花弁の基部の色が濃いことも見分けるためのポイントだ。 高山帯の砂礫地、 草地周辺などに生える多年草で、 高さは10〜20cm。 黄色い直径2cmほどの5弁花を咲かせる。 地下茎は横に伏し、 枯れた葉柄の残骸をつける。 科や属はちがうものがほとんどで、 ポイントに着目すれば多くの場合簡単に見分けがつく。 不忘山北斜面で撮影、(2020/6/7) |